2016/07/06

わたし流、市場の楽しみ方

このブログのタイトルは「市場をつくろう」ですが、最初見た時「なんで今さら市場なん?」って思いませんでしたか?だってインターネットを使えば、外へ出ずとも欲しいものがボタン1つで買えてしまう時代。コンビニやスーパーだってあちこちにあるし、市場の存在自体を知らない若い世代も多いんじゃないでしょうか。

なのにあえて「市場をつくろう」、ですよ。まるで時代の逆を行くようにも見えるこの試み。しかも「朝市」ときたもんだ。朝ってことは、早起きして出かけなきゃいけません。みなさん早起きは得意ですか?私は大大大の苦手です。

でも「明日の朝はおいしいモーニングを食べに行くぞ」と決めたら、不思議と早く起きられるんですよね。ずっと会いたかった人に会える日の朝、とかもね。つまり「明日の朝起きたら、何か楽しいことが待っている」。そんなワクワク感があれば早起きもへっちゃら。単純な奴です。

幸いなことに、私は市場が大好き。だから「アイン朝市」のためなら早起きできそうな気がしています。

私は10年前に初めての海外旅行で韓国・釜山(プサン)の国際市場を訪れてから、市場の魅力にはまりました。洋服、器、布団、化粧品など生活に必要なものが何でもそろうだけでなく、安くておいしいものがたくさんあって活気がある。スーパーやコンビニにはないごちゃごちゃとした感じが懐かしくもあり、とても新鮮でした。

▲釜山の写真じゃなくてごめんなさい。2010年6月、ソウルの南大門市場の様子

この最初の釜山旅行の思い出が忘れられず、6年後に韓国へ留学することになるわけですが、何が一番忘れられなかったって、食べ物の記憶なんです。それも市場で食べた「天ぷら」の味。

揚げたての天ぷらが積み上げられた屋台の前で、どうやって注文すればよいのかじっと観察していると、買い物帰りのアジュンマ(おばさん)たちがいきなり揚げ物をつまみ、パクパクと食べ始めました。「お金払う前に食べてええんや…」と軽い衝撃が走ったあの瞬間。ひとしきり食べたら、その数を店主に告げて、そこで初めてお会計というシステムでした。

アジュンマたちのマネをして、「ほんまに食べていいんかな?」とドキドキしながら手に取ったのが「唐辛子の天ぷら」。辛くない青唐辛子の中に、春雨やひき肉などを詰め込んで揚げたもので、今思えばなんてことのない一品なんですが、真夏の太陽の下、聞きなれない韓国語と油の匂いにまみれながらほおばった天ぷらは、なぜか一生忘れることができない味になりました。

その後何度も、国内外で市場を訪れるうちに、お店の人と仲良くなると値引きしてもらえたり、おまけの品がもらえたりすることがある、と学びました。気になる商品をじっと見つめていると「食べてみる?」と言って試食させてもらえたり。


▲2015年10月、ソウルの広蔵市場で気になるものを発見。乾燥させる前のナツメでした。じっと見ていたらアジュンマが1つくれたのでその場でがぶり。リンゴのような風味でジューシー!

ソウルの八百屋さんでカゴに山盛りのマッシュルームを見つけた時は、「半分だけ買うから半額にしてほしい」とお願いすると、「半額でいいから全部あげる」と言われたこともありました。誰に何をどう売るかは、お店の人の気分次第。値切ってばかりもダメだけど、お互いに駆け引きを楽しむ。それが後で、記憶に残る思い出になるんやろうなって思います。

普段スーパーで無言で買い物しているみなさん、アイン朝市ではスタッフに何でも話しかけてみてください。「これ食べてみたいな」のひと声で、試食ができるかもしれません。「私メロン好きやねん」のひと声で、翌週にはメロンがずらっと店頭に並ぶかもしれません。

ね、ワクワクしてきたでしょ?
いつもは昼まで寝ているお寝坊さん、「早起きしたよ」とひと声かけてくれたら、何かサービスしちゃうかも!